これまで中高一貫校に関する情報や英語学習に関する情報を中心に紹介してきましたが、今回は徳島県に2023年(令和5年)4月2日に開校した話題の「神山まるごと高等専門学校」(通称:神山まるごと高専)に関して調べてみました。
私が勤めている会社も少し関与した学校で、同僚などで視察などに行っている人がFacebookなどで情報を共有してくれていたりして気になっていました。
神山まるごと高専とは?
神山まるごと高専(神山まるごと高等専門学校)は、徳島県名西郡神山町(徳島県名西郡神山町神領字西上角175-1)にある私立の高等専門学校です。2019年、Sansan株式会社の創業者で代表取締役社長である寺田親弘氏が中心となり「神山まるごと高専設立準備委員会」が設立され、開校へ至った。国内の高等専門学校としては19年ぶりの新設校である。
↓の動画を観てみて下さい。自分が中学生だったら「行ってみたい!」と思っただろうなと思います。公立中学に通っている次男にすすめてみたいと思ってい「神山まるごと高専」に関して調べてみました。
神山まるごと高専が目指す人物像
「モノをつくる力で、コトを起こす人」の育成
Sansan株式会社の創業者で代表取締役社長である寺田親弘氏が発起人で多くの起業家や企業人が関わって設立された学校だけに、社会で活躍できる人材の育成にこだわっていると感じます。
神山まるごと高専の特徴
15歳から「どう学ぶか」、学びの新しいスタンダード。
神山まるごと高専の特徴①:5年間で集中して学ぶ
15歳からの学びにとても大事な時期を、受験もなく過ごせる純粋な5年間。
いわば高校と大学の7年間を、ぎゅっと凝縮したような濃い時間を仲間たちと過ごします。
中高一貫校も高校受験がない6年間の一貫教育が魅力ですが、高等専門学校も高校3年間と大学での4年間の学びが5年間に凝縮されたようなカリキュラムのようです。
高等専門学校を卒業して「大学に編入したり、海外大学に留学」「起業」「就職」などの多様な選択肢が用意されているようです。
神山まるごと高専の特徴②:みんなが共に暮らす
学生寮で同世代の仲間と共に暮らし、さまざまな体験を共有することによって、コミュニケーション力や人間力を身につけます。
神山まるごと高専の特徴③:知識よりも実践
インプット型の学びが主体の日本において、高専の学びはアウトプットが基本。
演習や実践から体験的に学びます。
授業、学校、課外活動のことなどを生徒たちが語ってくれている動画がYouTubeにアップされていて非常に魅力的です。
神山まるごと高専の特徴④:つくる力
実践的な「つくる」力を基本に「モノ」をより魅力的にするデザイン、「コト」を起こすためのアントレプレナーシップまで幅広く学び、自分で考え、自分の手で形にする想像力と創造力を身につけます。
YouTubeではプログラミング教員と神山まるごと高専学生が座談会形式で、学生たちの入学前、そして入学後の「モノづくり体験談」をお話してくれています。
いやー生徒さんが優秀そうですね。
神山まるごと高専の特徴⑤:自由と責任
15歳から大学のような自由な環境。
まわりには20歳の先輩や、スカラーシップパートナー企業、個性豊かな先生たち。そして神山の人々。
何を誰から学ぶか・何をするかを自分で選び、自分で責任を取る。
その厳しさも含めた本当の自由を経験します。
神山まるごと高専の特徴⑥:学費の実質無償化
スカラーシップパートナー
学費の実質無償化を実現するために、奨学金基金への拠出・寄付を実行いただいた企業です。
- デロイトトーマツコンサルティング合同会社
- ソニーグループ株式会社株式会社MIXI/取締役ファウンダー 笠原 健治
- 伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
- 株式会社MIXI/取締役ファウンダー 笠原 健治氏
- 株式会社セプテーニ・ホールディングス
- ソフトバンク株式会社
- 富士通株式会社
- ロート製薬株式会社
- Sansan株式会社
- セコム株式会社
- 株式会社リコー
「スカラーシップパートナー」以外にも「ファウンディングパートナー※学校の開校、運営資金を寄付いただいた企業・個人の方々」「リソースサポーター※物品提供、サービス提供を通して、開校、学校運営を支えてくれる企業」「プログラムパートナー※共に授業をつくり、学生たちに学びを提供する企業」など多くの企業・個人が学校運営に関与しています。
神山まるごと高専の費用は?
授業料と奨学金
経済状況に左右されない。そんな学校を目指しています。
家庭の経済状況に左右されず、世界を変える可能性を秘めた子どもたちの誰もが目指せる学校にしたい。という思いから、当校独自の給付型奨学金を用意しています。様々な企業にスカラーシップパートナーとしてご協力いただき、公的支援も組み合わせて、学費の実質無償化を目指しています。
学費
- 入学金:230,000円
- 学費:2,000,000円
- 寮費:1,000,000円
※金額は税込です。
※学費・寮費は1年間の費用です。入学時の金額が途中で変更になることはございません。
※入学金は初年度のみ徴収します。入学手続き時にお支払いください。
※受講する科目によって、別途教科書などを購入する必要があります。詳細は入学手続きが完了した方にお知らせします。
※学費および寮費の分納(前期・後期の2回に分けての納入)については、個別事情を踏まえた相談に応じます。
奨学金
「神山まるごと高専」は独自に用意した給付型奨学金制度、公的支援、その他団体の奨学金制度を組み合わせて、下記の奨学金を支給します。
入学金
- 世帯年収398万円以下の場合には、入学金と同額の23万円の奨学金を給付させて頂きます。
- 給付時期については、正式な入学後の給付とさせて頂きます。ただし、個別事情を踏まえた相談に応じます。
学費
- 希望するすべての学生を対象に、返済不要な給付型奨学金を支給します。
- 希望者全員に、学費と同額の200万円の奨学金を5年間給付させて頂きます。
- 学費納入前に給付いたします。奨学金給付後、速やかな学費納入にご協力ください。
寮費
- 世帯年収の7.64%以下の負担となるように返済不要な給付型奨学金を設計しています。
- ご希望される方の世帯年収や、同居家族の人数に応じて審査いたします。決定した支給額を、寮費から減額した額を納入いただきます。
- 世帯年収398万以下の場合には、最大100万円(1年間の寮費と同額)の奨学金をご用意しています。
※公的支援として、1~3年生は高等学校等就学支援金制度、4~5年生は高等教育修学支援新制度の活用を含んでいます。また、その他にも活用できる奨学金がある場合は、当校からも提案いたしますので、申請に必要な書類提出などにご協力ください。
※個別の状況を踏まえて相談が必要な場合は、事務局までお問い合わせください。
高等専門学校(高専)とは?
高等専門学校は実践的・創造的技術者を養成することを目的とした高等教育機関です。
全国に国公私立合わせて58校あり、全体で約6万人の学生が学んでいます。
高等専門学校の特色
高等専門学校の特色①:5年一貫教育
高等専門学校は、高等学校と同じく、中学校を卒業した方が入学することができます。入学後は5年一貫(商船学科は5年6ヶ月)で、一般科目と専門科目をバランスよく配置した教育課程により、技術者に必要な豊かな教養と体系的な専門知識を身につけることができます。
高等専門学校の特色②:実験・実習を重視した専門教育
高等専門学校では、学んだことを応用する能力を身につけるために、理論だけではなく実験・実習に重点が置かれています。更に卒業研究を通して、創造性をもった技術者の育成を目指しています。
学科は各学校ごとに異なります。大きくは工業系と商船系の学科に分かれ、工業系の学科には、機械工学科、電気工学科、電子制御工学科、情報工学科、物質工学科、建築学科、環境都市工学科などがあり、商船系の学科には商船学科があります。工業系、商船系以外にも経営情報学科、情報デザイン学科、コミュニケーション情報学科、国際流通学科を設置している学校もあります。
高等専門学校の特色③:ロボットコンテスト、プログラミングコンテスト、デザインコンペティション等の全国大会開催
「ロボットコンテスト」「プログラミングコンテスト」「デザインコンペティション」「体育大会」など、全国規模で学生が日頃学んだ成果を競う全国大会が開催されています。
高等専門学校の特色④:卒業生には産業界からの高い評価
卒業生は、製造業を初めとして様々な分野で活躍しています。卒業生に対する産業界からの評価は非常に高く、就職希望者に対する就職率や求人倍率も高い水準となっています。
高等専門学校の特色⑤:卒業後、更に高度な技術教育を受けるための専攻科(2年間)を設置
多くの高等専門学校には専攻科があります。専攻科は5年間(商船学科は5年6ヶ月)の本科を卒業後、更に2年間より高度な技術教育を行います。専攻科を修了すると独立行政法人大学評価・学位授与機構の審査を経て学士の学位(大学学部と同じ)を得ることができます。専攻科への進学のほか、大学に編入学することもできます。
神山まるごと高専の設立中心メンバーが語る設立秘話
神山まるごと高専の最大の魅力は、設立メンバーが強い想いを持って設立した学校であること。
そして「スカラーシップパートナー」「ファウンディングパートナー」「リソースサポーター」「プログラムパートナー」など多くの企業や起業家などが学校運営に関与している点だと思う。
寺田 親弘氏はSansan創業者兼代表取締役社長ですが、経歴としては慶應義塾高等学校、慶應義塾大学環境情報学部卒業しており日本最先端の高等教育を受けた経験をお持ちのようです。
慶應義塾大学環境情報学部卒業後は、三井物産入社し情報産業部門に配属され、シリコンバレー勤務も経験しています。2007年に、Sansanを設立し、2019年6月、同社を東証マザーズへ新規上場させ、2021年1月、東証1部へ市場変更させています。
シリコンバレー勤務の経験から、シリコンバレーの活力にスタンフォード大学やカリフォルニア州立大学(UC)バークレー校などの大学が大きな影響があると感じられたのではないでしょうか?
上場企業であるSansanの社長で多忙を極めるであろう寺田 親弘氏が想いを詰め込んだ「神山まるごと高専」が魅力がないわけはないと感じさせる動画です。
神山まるごと高専の入試
志向性や個性も含めたマッチングを総合的に判断する入試。
マッチング重視の入学試験
入試では、神山まるごと高専とのマッチングを重視しています。様々な方法で判定するのは、いまのあなた自身がアドミッションポリシーに合うか、合わないか。過去にやってきたこと、いま現在できること、未来にやっていきたいこと。神山まるごと高専とのマッチ度を、多面的に評価していきます。
アドミッションポリシー
未来の「モノをつくる力で、コトを起こす人」を育てるために、神山まるごと高専では、以下の5つを満たす入学者を求めています。
- モノづくりに興味や関心がある人
- 多様な価値観を受け入れ、自分の意見を伝えられる人
- 情報を適切に処理する思考力がある人
- 正解のない問いに対して、独自の解を出せる人
- 必要な学習を続ける意欲があり、学んだことを活かせる人
神山まるごと高専の入試は、マッチング重視という点が大きな特徴です。単に学力だけでなく、アドミッションポリシーに沿った人物かどうかを多角的に評価し、神山まるごと高専との「マッチング」を重視した選考が行われます。
入試のポイント
- マッチング重視:
- アドミッションポリシー: 未来の「モノをつくる力で、コトを起こす人」を育てるために、モノづくりへの興味関心、多様な価値観の受け入れ、情報処理能力、問題解決能力、学習意欲など、多岐にわたる能力や資質を求めています。
- 評価方法: 志望理由書、課題レポート、学力試験、ワークショップ、面接など、様々な方法で評価されます。
- 多様な評価方法:
- 志望理由書・課題レポート: あなたの考えやこれまでの経験、将来の目標などを記述することで、あなたの個性やポテンシャルをアピールできます。
- 学力試験: 数学と国語の試験で、基礎的な学力と思考力を測ります。
- ワークショップ: グループワークを通して、コミュニケーション能力や問題解決能力を評価します。
- 面接: あなたの個性や志望動機、将来の目標などを直接聞き、神山まるごと高専での学びへの意欲を測ります。
入試方式
神山まるごと高専では、A方式、B方式、C方式の3つの入試方式が用意されています。それぞれの方式で評価の重点が異なります。
- A方式: 各評価項目の総合点で、マッチ度をはかります。
- B方式: 各評価項目から、中でも秀でている部分を突出点として、マッチ度をはかります。
- C方式: A/B方式いずれかの一次試験合格者に対して、再度試験を行います。学習力に特化してマッチ度をはかります。
その他
- 出願方法: インターネット出願が基本です。
- 試験会場: オンライン入試や神山町での対面試験があります。
- 合格発表: 複数回行われます。
出願書類・入試科目の内容と入試における意図
「神山まるごと高専」の推薦書は被推薦者がアドミッションポリシーとどのような点で合致しているかを書くものです。「神山まるごと高専」の推薦書における最大の特徴は推薦者を学校関係者に限らないとしたことにあります。学校での活動以外にも中学生の活動の場所は広がってきていると考え、先生が把握しにくい様々な課外活動での活躍も記載できるようにしました。結果として、推薦者は学校関係者が最も多かったものの、約半数が学校関係者以外となりました。塾や習い事スクールの先生だけでなく、同学年の親友や同じ活動をしている仲間などから推薦者を選ぶ受験生が多くいたことも特徴的でした。
神山まるごと高専の過去問
国語(60分)
合格者平均点:34.36点/40点満点
神山まるごと高専の国語では「情報を適切に処理する思考力がある人」「正解のない問いに対して、独自の解を出せる人」「必要な学習を続ける意欲があり、学んだことを活かせる人」というアドミッションポリシーのとのマッチ度をはかることを意図して出題されます。
そのため、知識を問う問題は少なく、文章や条件をふまえて考えることで答えを導き出す力を問う問題を多く出題しています。正解を暗記するのではなく、どうしてそうなのか、他により良い答えはないのかを考える思考力、解を求める力、学ぶ意欲の高さが本校とのマッチ度として得点に結びつくことを意図しています。
数学(60分)
合格者平均点:49.37点/60点満点
神山まるごと高専の数学では「多様な価値観を受け入れ、自分の意見を伝えられる人」「情報を適切に処理する思考力がある人」「必要な学習を続ける意欲があり、学んだことを活かせる人」というアドミッションポリシーとのマッチ度をはかることと、「 プログラミングと数字に強くなる 」ことで「 ソフトウエア分野を中心とした情報工学 」を理解するための素地を確認することを意図して出題しました。
そのため、中学校数学 A. 数と式,B. 図形,C. 関数,D. データの活用 の4 領域から出題しましたが、単一領域からの出題ではなく、複数領域の知識を要する問題を設定することで多角的な見方ができることを求めました。さらに、事前に出題範囲を絞って伝えることで、必要な学習の暗記ではなく、なぜそうなるのか、他とどう関連性があるのか、どのように応用できるのか等、学びを活かせる人であるかどうかを問う問題も意図的に組み込んでいます。
小論文(90分)
合格者平均点:38.66点/50点満点
神山まるごと高専の小論文では「必要な学習を続ける意欲がある」ということの定義をふまえ、定義に則して自己評価する、など条件に則って文章を構成する力が必要な問題になっていますが、最大の特徴は、自分自身の経験をもとに小論文を書くということです。
試験までの学習を振り返る部分は、そもそも学習を漫然としていた方では回答に窮するような仕立てになっており、自らの現在地を正しく分析し、学習を設計した経験が、小論文の回答の素材となるような問題になっています。試験一発勝負ではなく、試験までの過程の中で発揮した学習力を評価したいという思いで出題しています。
神山まるごと高専入試の過去問分析と傾向を解説
高専入試/大学編入のための高専塾「ナレッジスター」の公式勉強チャンネルで「神山まるごと高専入試の過去問分析と傾向を解説」した動画を見つけました。
神山まるごと高専の志願倍率と実質倍率
2023年
合格者:44名
志願者数(併願含む):399名
志願倍率約:約9.0倍
実受験者数:277名
実質倍率:約6.2倍
※倍率は小数点第2位を切り捨て
2024年
合格者:43名
志願者数(併願含む):458名
志願倍率約:約10.6倍
実受験者数:241名
実質倍率:約5.6倍
※倍率は小数点第2位を切り捨て
神山まるごと高専に合格者を輩出している塾
早稲田アカデミー
早稲田アカデミーは、関東地方に中学・高校・大学受験専門進学塾を展開している大手受験専門進学塾です。 略称は「早稲アカ」です。
岡本塾
岡本塾は横浜市港北区内に5校舎、中区に1校舎、川崎市中原区に1校舎、海老名市に1校舎を運営しており「翠嵐・湘南・柏陽」など最難関公立高校受験専門塾です。
進学塾MUSASHI
進学塾MUSASHIは東京駒込の進学塾です。
現時点で2回の入試が実施されましたが合計で80名強しか合格者がいないため合格実績に「神山まるごと高専」が掲載されていたのは上記3つしか見当たりませんでした。
まとめ
今回は、Sansan株式会社の創業者で上場企業の現役社長である寺田親弘氏が中心となり、国内の高等専門学校としては19年ぶりの新設開校されたこと、また学費の実質無償化でも話題の「神山まるごと高専」の費用、偏差値、評判などを徹底調査しました。
とても魅力的な学校だと思いますが首都圏から受験するとなると徳島県に5年行ってしまうので寂しいですよね💦
※本記事は「神山まるごと高専」のホームページなどの情報をもとに作成しています。受検をご検討の方々はご自身で各ホームページの情報もご確認下さい。
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