2025年の中学受験は、一体どのような様相を呈しているのでしょうか? 長年、最難関中学受験指導の最前線に立つSAPIXでも、偏差値だけではない、新たな学校選びのトレンドを捉えているようです。
この記事では、SAPIX 広報企画部へのインタビュー記事を考察し、SAPIX担当者も認めた、2025年中学受験における学校選びの新たなトレンド を徹底解剖します。
1. 2025年首都圏中学受験の現状 – データから読み解くトレンド
2025年度の首都圏中学受験率データは、一見すると昨年とほぼ同率の約15%。しかし、この数字の裏には、見過ごせない地域差と新たなトレンドが含まれています。
SAPIX 広報企画部は、データ分析に基づき、
「中学受験ブームは、実は首都圏全体で高まっているわけではないんです。都内23区を中心とした非常に限られたエリア、具体的には千代田区、中央区、文京区、港区、江東区などの東京都心部で高まっているのです。」
Yahoo!ニュースのインタビュー記事より
と指摘します。この言葉は、中学受験の加熱が一部地域に集中している という現状を明確に示しています。

首都圏全体という大きな括りではなく、地域ごとの詳細なデータ分析 こそが、2025年中学受験の実態を正確に捉える鍵と言えるようです。
2. SAPIX担当者が認めた新たなトレンド – 偏差値偏重からの脱却、そして「個」の重視へ
従来の学校選びは、偏差値が最優先される傾向が強くありました。しかし、SAPIX は、偏差値偏重からの脱却、そして 「個」を重視する 新たなトレンドをいち早く認識しています。
SAPIX 広報企画部は、インタビューの中で、
「要するに、何が何でも最難関校に入れようと思わなくなっているのです。以前は、偏差値表を頼りにできるだけ偏差値の高い難関校を目指すご家庭が多かったのですが、現在はお子さんの性格や、目指す将来像に適した学校を目指すご家庭が顕著になっています。」
Yahoo!ニュースのインタビュー記事より
と明言しています。この言葉は、学校選びの価値観が大きく変化している ことを示唆していると言えるでしょう。
トレンドを象徴する3つのキーワードは「共学」「国際系」「サイエンス」
では、具体的にどのような学校が、新たなトレンドを牽引しているのでしょうか? SAPIX が特に注目するのが、以下の3つのキーワードに力を入れる学校です。
- 共学: 多様な価値観が交差する共学環境は、社会性を育む 上で不可欠。
- 国際系: グローバル社会で活躍するために、国際的な視野 を養う教育は必須。
- サイエンス: 未来を切り拓く論理的思考力 と 探求心 を育む理数系教育の重要性は、ますます 増しています。
SAPIX 広報企画部は、これらのキーワードに合致する学校群として、
「渋谷教育学園幕張」、「渋谷教育学園渋谷」、「広尾学園」、「広尾学園小石川」、「開智日本橋学園」、「三田国際科学学園」、「かえつ有明」、「芝国際」
を具体例として挙げています。これらの学校は、SAPIX の上位層からも支持を集め、新たな人気校 として台頭しています。

私の同僚の娘さんも「広尾学園」に通っています。
「共学」「国際系」「サイエンス」というトレンドにピッタリの学校です。下記の記事でも紹介しているので、興味がある方は是非ご一読ください。
また、「首都圏の中高一貫校の海外大学「現役合格率」ランキング」と言う記事で紹介していますが、1位が「広尾学園」、4位が「開智日本橋学園」、5位が「三田国際学園」とSAPIX の上位層からも支持を集め、新たな人気校 と重なります。
4. 多様化する進路志向 – SAPIXが分析する大学附属校、伝統校、男子校・女子校の新たな価値
SAPIX は、大学附属校、伝統校、男子校・女子校といった、様々なタイプの学校それぞれが持つ新たな価値 にも注目しています。
4-1. 大学附属校 – 「ゆとり」と「多様な進路」を両立
大学附属校といえば、これまで「大学受験がない」という点が大きなメリットとして捉えられてきました。しかし、SAPIX は、それに加えて 「ゆとり」と「多様な進路」の両立 という、これまでとは異なる新たな価値を提示しています。
大学附属校でありながら、他大学への受験にも理解のある 雰囲気 が育まれ、探究型の授業 を通じて 、総合型選抜入試にも対応できる力 を身につけられる点が、改めて評価されているのです。
4-2. 伝統校 – 「伝統」と「現代的価値」の融合
伝統校、特に名門女子校 は、長きにわたり受け継がれてきた 「伝統」 に加え、現代社会が求める 「女性としての さまざまな経験」 を積むことができる場として、その価値が再認識されています。
SAPIX は、伝統校が持つ卒業生ネットワーク、すなわち OGネットワーク のような目に見えない財産 にも着目し、その魅力を改めて評価しています。
4-3. 男子校 – 「面倒見の良さ」と「個性の伸長」への期待
男子校に関しては、SAPIX は 「面倒見の良さ」 と 「個性の伸長」 という2つのキーワードに着目します。
偏差値だけでは測れない、男子校ならではの教育メソッド や、男の子の特性に合わせたきめ細やかな指導 が、入学時と卒業時の生徒の成長度合い、つまり 「出口の良さ」 への期待を高めていると分析しています。
5.SAPIXが推奨する情報収集 – 早期化する学校選びへの対応
学校選びの基準が多様化し、選択肢も広がる現代において、SAPIXは、早期からの情報収集が一層重要になると強調しています。
SAPIX 広報企画部が指摘するように、子どもがまだ幼いうちから学校説明会に足を運ぶご家庭が増えている現状を考えると、情報収集の早期化は、もはや当然の流れと言えるかもしれません。
しかし中学受験塾が発信する情報を鵜呑みにして中学受験に邁進してしまうことにも警笛を鳴らしておきたいと思います。
例えば広島県が全寮制の中高一貫校として2019年に開いた県立の「広島叡智学園」では2025年3月6日に1期生45人が高校を卒業しました。学校によると、そのうち29人が海外の大学を志望していて、アメリカやイギリスなど約30の海外の大学に合格しているようです。
「広島叡智学園」以外にも「首都圏の中高一貫校の海外大学「現役合格率」ランキング」で第3位となっているのは国立の「東京学芸大学附属国際中等教育学校」です。
また、大学だけが進路ではない。
「人間の未来を変える、起業家たちが創る新しい学校」として誕生した「神山まるごと高専」などにも非常に注目しています。
まとめ
SAPIX 広報企画部へのインタビュー記事を分析した結果、2025年中学受験における学校選びの新たなトレンド、そしてその中心には「個」を重視するという確固たる価値観があることが明確になりました。
偏差値という一方通行的な基準に捉われることなく、子ども一人ひとりの個性に光を当て、秘められた可能性を最大限に引き出す学校選びこそが、2025年以降の中学受験を成功に導くための重要な要素となるはずです。
また、中学受験だけにとらわれ過ぎずに子どもの適性に合わせた教育を提供してあげたいところです。
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