2022年に長女が公立中高一貫受検に挑戦し合格することが出来ました。2024年には次男も公立中高一貫受検を考えています。
娘の公立中高一貫受検に伴走して調べたこと、感じたことをもとに具体的な適性検査の勉強法ご紹介します。
公立中高一貫校とは?
公立中高一貫校の目的
公立中高一貫校は1999年に文部科学省が学校教育法を一部改正して誕生しました。
中高一貫教育は6年間の計画的・継続的な教育指導により個性や創造性を伸ばし、幅広い年齢層の生徒が6年間一緒に学校生活を送る中で社会性や豊かな人間性を育む教育を進めることができます。
公立中高一貫校が開校するまでは私立の中高一貫校に行くことでしか受けられなかった中高一貫教育を経済的負担が比較的少ない公立校でも受けられるようになりました。
公立中高一貫校が求める生徒像
多くの公立中高一貫校が「国際社会で活躍するリーダーの育成」を目標に掲げていますが、教育理念や校訓、育てたい生徒像等は学校ごとに特色があります。学校の方針と子供や家庭の教育方針の一致していることは、重要なポイントとなります。学校のホームページを確認したり、文化祭等のイベントに参加したりするなどして、学校と子供との相性を見極めておきましょう。
公立中高一貫校受検の特徴
公立中高一貫校受検は、地域/学校により異なりますが基本的に「適性検査」「報告書」「作文」で選考されています。
※地域や学校により「面接」や「二次検査」がおこなわれるところもあります。
ちなみに「適性検査」と呼ばれるペーパーテストは建前上、学力を問う試験は行ってはならないことになっているため「試験」ではなく「検査」という名称になっています。そのため私立中学受験の「受験」とは違い「受検」の字を使います。
誤字じゃないんだね
公立中高一貫校の「適性検査」は筆記型のペーパーテストなのですが私立中学受験のように「国語」「算数」「理科」「社会」などの教科別の試験ではなく、教科を超えた総合的な能力を判断するためのテストです。
例えば身近な環境問題を考えながら計算をしたり、リサイクルの材料を使って理科実験をしたりする問題などが取り上げられます。
適性検査では「仮説思考力」や「読解力」などが試されています。「仮説思考力」に関しては、日常の現象について「なぜ?」と疑問を持ち、仮説を立てる力などが重要です。また「読解力」は文章を読んで理解する力も必要ですが、それだけではなくて出題者の意図を読み取ることも含めた力が求められます。
基本的に小学校で学ぶレベルの知識を元に思考力を試されるような検査なので多くの私立中学受験で求められる「深い知識」を前提とした暗記的な勉強が必要な受験ではないのも私は魅力を感じました。
私と同じように暗記を強要するような受験に抵抗があるご家庭にも公立中高一貫校の受検はお薦めです。
ちなみに塾なし受検でも「この記事」に書かれている勉強法で公立中高一貫校に合格することは可能だと思います。ただし保護者がしっかりサポートすることが前提ですが。
適性検査とは
適性検査には、適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱ、適性検査Ⅲの3種類があり、ⅠとⅡだけを問う学校やⅠからⅢのすべてを問う学校もあります。
適性検査Ⅰ…文系・作文など
適性検査Ⅱ…理系など
適性検査Ⅲ…独自作成問題(主に算数・理科)
適性検査Ⅰは、文系・作文、Ⅱは理系、Ⅲは、学校独自の問題(主に算数・理科)です。
学校によって文系寄り、理系寄りと傾向は異なるので、過去問などで受検する学校の傾向を確認しておく必要があります。
適性検査の具体的な勉強法
適性検査で求められる力は、主に以下の3つです。
- 読解力:文章を読んで理解する力も必要ですが、それだけではなくて出題者の意図を読み取ることも含めた力。
- 論理思考力:問題に対する答えを論理的に考える力。
- 表現力:思考力によって導き出した答えを、総合的にまとめ、読み取り手にわかるように書いたり伝えたりする力
具体的な勉強法
公立中高一貫校受検では私立中学受験のように小2、小3から受検準備をする必要はあまりないと思います。むしろ小5くらいまでは基礎力をしっかり定着させることが重要だと思います。
小学校で習う内容をまんべんなく理解する。
適性検査は、小学校で習う範囲から応用した問題が出題されます。
そのため、まずは教科書の内容を徹底的に勉強して深く理解する必要があります。私立中学受験と違って知識をそのまま問われることは少ないので、暗記ではなく理解の質が重要です。
出来れば小学校5年生までに小学校6年生までの内容を終わらせておくと5年生からは適性検査に特化した勉強に集中できます。その意味では「スマイルゼミ」や「スタディサプリ」など先取り学習ができる教材を活用するのもオススメです。
小学校の勉強を完璧にしておくことは適性検査の対策にもなりますが、報告書の対策にもなります。ちなみに学校によって比率は違いますが小学校からの「報告書」が選考で使われるため小学校での評価が高いと有利です。
東京都立の公立中高一貫校を例としてご紹介すると桜修館中や富士中など適性検査比率の高い学校では3割の比重があります。なので思考力が高くても、忘れ物が多い、授業態度が悪いなどで学校の評価が低くなってしまうと不利な条件で受検に臨まなければならなくなるので注意が必要です。
社会課題に興味を持つ
適性検査では、身近な社会課題に関連した問題が多く出題されています。
例えばSDGsに関連するような問題なども多くの学校で出題されています。小学生には高度な問題のような気もしますが、小学校でもSDGsに関しては勉強しています。
ただ学校で習う内容では適性検査を解くのは厳しいのも事実です。
対策としては、家族でニュースや新聞で取り上げられていることについて話し合ったりする習慣をつけることをおすすめします。
ちなみに、うちは読売KODOMO新聞と朝日小学生新聞を試読させてもらって、週に1回届く読売KODOMO新聞がちょうど良かったので購読しています。
ちなみに小学生から読売KODOMO新聞を読み始めた娘は、中2になった現在は私が購読している日本経済新聞を一緒に読んでいます。
小6の息子も読売KODOMO新聞を読んでいますが、最近は背伸びして日本経済新聞を読んでいることもあります💦
論理的思考力を鍛える
公立中高一貫校受検の適性検査の問題は問題文を、そのまま読んでも解けない問題があります。何を解くのかを特定して、問題を解くための情報を把握しないと解けない問題もあります。
また作文などの記述問題でも論理的構成が求められます。
この、論理的思考力は社会人になっても重要な力だと思います。
なので、小学生の時から論理的思考力を鍛えるトレーニングをおこなえる適性検査対策は大人になってからも役に立つ能力だと思います。小学校低学年から中学年で論理性が足りないと思う場合も、論理的思考力を鍛えるつもりで公立中高一貫校受検に挑戦させてみるのもありだと思います。
うちでは公立中高一貫校受検を考え始めた時期に「5分で論理的思考力ドリル シリーズ」をやらせました。小学校低学年から中学年のお子さんなら「ちょっとやさしめ」から。
高学年なら、「ちょっとやさしめ」は飛ばして「論理的思考力ドリル」からでも良いと思います。「論理的思考力ドリル」で物足りないお子さんには「ちょっとむずかしめ」もあります。
Amazonで「試し読み」もできるので「5分で論理的思考力ドリル ちょっとやさしめ」「5分で論理的思考力ドリル」「5分で論理的思考力ドリル ちょっとむずかしめ」チェックしてから購入すると良いと思います。
他にも「2分で読解力ドリル シリーズ」も適性検査対策に良いと思います。
こちらも「試し読み」できます。
「漢字」「計算」などの基礎力と勉強習慣の定着
娘の時は小6の夏休み頃から適性検査の過去問に取り組みはじめました。
過去問に取り組みはじめて感じたのが”とにかく時間が足りない”ということでした。
娘は時間対策として最後は過去問を解きまくって慣れるってことで克服しましたが、計算力や語彙力(漢字力含む)があるのと、ないのとでは最後の最後で大きな差が出ます。
適性検査では計算問題単体で出題されることは、ほぼありません。
しかしグラフなどの数値から割合を求めて作文を書く問題などもあり桁数の多い計算や少数などを含む計算が必要とされるケースが多いです。
また45分で、かなりの量の問題を解かなければならないので、複雑な計算を正確に早く解く計算力が必要とされます。
また漢字の問題なども、漢字単体で出題されることは、ほぼありませんが作文や記述問題で小学校で習う漢字は全て書ける必要があります。作文で誤字(トメハネなど含む)や小学校で習う漢字がひらがなだったりすると減点になります。
なので計算力、漢字力など基礎が非常に重要です。
うちでは毎朝ドリルをやるようにしていました。これは勉強習慣を付ける意味でも非常に良かったと思っています。
うちでは「朝5分ドリル シリーズ」をやらせていました。
実際には5分もかからないので学校に行く前に”ササっ”とやってました。
苦手意識がある場合には1つ前の学年からはじめるのも良いとい思います。
あと娘の場合はカタカナの「ツ」「シ」、「ソ」「ン」に変な癖があることが課題となりました。
6年生の冬休みに塾の先生から指摘されて気をつけていましたが時間がない適性検査で、早く書こうとすると、ついつい癖が出てしまっていました。
娘は小1から4年生まで習字を習っていて段を持っているので字には自信があったようですが筆と鉛筆では違いもあるのかもしれません。習字だとカタカナはあまり書きませんし…
癖のない綺麗な字は採点者も読みやすいので作文でも有利なようです。
直前期にカタカナの癖を直すのに時間を使うのはキツかったです💦
もう少し、早く知りたかった…
ちなみに弟には小4から「小学生のためのきれいな字になるワーク」をやらせたのと、事あるごとに「字は丁寧に早く書けるように」と伝えてきました。
小6の秋を迎えて、過去問演習をやりはじめて、この効果もあり塾の模試では作文を含む、適性検査Ⅰの偏差値が68でした。
作文や短文記述など記述問題では「きれいな字」を早く書く能力は強みになります。
適性検査の問題に慣れる
小6になったら「公立中高一貫校適性検査問題集 全国版(通称:銀本)」で過去問演習をしたり
志望校の過去問を解いたりしますが、小4・小5の間は「作文」「資料問題」「グラフ問題」などに慣れておくことで合格の確率を高めることにつながると思います。
ちなみに前年分の問題が掲載された銀本は7月ごろに発売されるので、最新版を購入してからが過去問演習の本番だと思います。うちは4年分ほど買い集めて何周もしました。過去問の演習量が合格につながったと感じています。
※ただ4年分は不要でした…塾のテキストがある場合は最新版のみ、塾のテキストがない場合は最新版+1~2年分で良いかなと思います。
作文対策
適性検査では、ほとんどの学校で作文が出題されます。適性検査の作文では、全体の構成を考え、相手に伝わりやすいように書く必要があります。小学校で書く作文とは別物で小論文に近いと思います。
作文対策としては、数を書くしかないと思います。
その上で
塾の先生が添削をしてくれるなら先生に任せるのも手ですが、直前期は1日に2本、3本と書くことになるので塾の先生頼りでは回らなくなります。そこでうちでは妻と私とで添削をしていました。
公立中高一貫校受検を考え出した小4の頃から市販のテキストで作文対策は行っていました。
作文では小4くらいから「作文力で合格! 公立中高一貫校 適性検査対策問題集」で作文を書くようにしていました。合格者の模範解答もあって参考になります。
「作文力で合格!」はシリーズで出版されていて「作文力で合格! 2」もやりました。
模範解答が掲載されているので、添削者である保護者の添削力も高めてくれます。
テーマも適性検査で頻出のテーマが掲載されているので作文力で合格!シリーズで作文力の基礎が付いたと思います。
基礎から、しっかりやっておきたい場合は「公立中高一貫校 適性検査対策問題集 作文問題 書きかた編」もお薦めです。作文問題が苦手なお子さんが、適性検査の作文が書けるようになるために必要な力をじっくりしっかり身につけられる構成になっています。保護者への「サポートのポイント」付きなのもお薦めです。
「公立中高一貫校 適性検査対策問題集 作文問題シリーズ」には「トレーニング編」もあります。すべての作文問題に正答例があり、文章を読み取る際の注目点、作文を書く際の注意点も掲載されています。
資料問題対策
作文以外に公立中高一貫校適性検査必須の「資料を使って解く問題」で実際の出題から良問が掲載されています。例題で考え方・解法を身につけ、豊富な練習問題で実戦力を養えます。
グラフ問題対策
こちらも公立中高一貫校適性検査必須の「グラフ問題」対策に特化した問題集です。入門編→中級編→上級編の3段階になっており基礎から難関校レベルの対策まで活用できます。
グラフ問題では他にも「でる順グラフ問題 公立中高一貫校対策」もお薦めです。
理科分野対策
公立中高一貫校 適性検査の理科分野(生活と科学)の問題集です。生物・電気・地球と宇宙・実験などの基礎チェックから適性検査の対策まで掲載されています。解き方と答えだけでなく、着目点やヒント、問題内容に関する用語解説も豊富に掲載されています。
数と図形対策
全国の中高一貫校の適性検査の問題から、「数と図形」分野の問題を厳選し、10パターンに分類してあります。例題で考え方・解法を身につけ、豊富な練習問題で実戦力を養う構成となっています。
読書
うちの娘は、読書が大好きで小4で「ハリーポッター」を全巻読破していました。
しかし適性検査で出題される文章の多くは論説文なので、物語が好きな娘は適性検査の論説文を読むのが、あまり好きではなかったようです。
適性検査では全文を読むことが出来ないので、面白いと感じることはないかもしれませんが、出題される文章は面白い本も多いので、好きな本を選ばせて読ませてみるのも良いかもしれません。
茂木健一郎さんの著書は頻繁に適性検査で出題されています。
他にも宇宙飛行士の毛利衛さん
あとは一時、テレビなどにも出演されていた元聖路加国際病院院長の日野原 重明さん
ベストセラー「女性の品格」でも有名な昭和女子大学学長の坂東眞理子さん
登山家の野口 健さん
などの著書も頻繁に適性検査で出題されています。
他にも
なども頻繁に適性検査で出題されています。
2024年に公立中高一貫受検を考えている弟には論説文で出題されるような本をすすめたりしています。宇宙に興味があるようなので宇宙飛行士の方の本を買って読ませています。
もともと読書が好きで小2、小3の頃に伝記にハマって「アインシュタイン」「エジソン」「杉原千畝」などなど読破していました。
コツは本人に好きな本を選ばせること、無理に読ませないこと、あとは『どんな内容だった?』と聞いて「すごいねー、そんな難しい本を読んでいるんだね~」と難しい本を読んでいることを褒めてあげると、喜んで話してくれます!
6年生になったら過去問演習や模擬試験
過去問演習
小6になったら「公立中高一貫校適性検査問題集 全国版(通称:銀本)」で過去問演習をしたり
志望校の過去問演習を徐々に開始します。
本格的な過去問演習は夏休みくらいからでも十分だと思います。
過去問演習で重要なのは、解いたら解きっぱなしにせずに、丸付けをして、特に間違った問題を、なぜ間違えてしまったのかを分析することです。
志望校の過去問は「東京学参 中学別 入試シリーズ」がオススメです。銀本は網羅性は高いですが解説などは、ほとんどないので東京学参の中学別入試シリーズの詳しい解説がありがたいです。
模試
6年生になったら首都圏模試センターの「公立中高一貫校模試」いわゆる首都模試や日本教材出版の「公立中高一貫校適性検査対策模試」いわゆる公中検模試などの模試も積極的に受けることをオススメします。
志望校の合格確率でモチベーションを高めたり、本番に近い試験会場での受験に慣れるのは本番でも役に立ちます。
ただ模試の活用で1番重要だと思うのが解き直しです。
過去問演習と同じように解いたら解きっぱなしにせずに、丸付けをして、特に間違った問題を、なぜ間違えてしまったのかを分析することが重要です。
まとめ
今回は「公立の中高一貫校の適性検査とはどんなものか知りたい」「適性検査の具体的な対策方法を知りたい」「合格するための勉強法が知りたい」「自宅学習で使える教材などについて知りたい」方のために2022年に娘の公立中高一貫校受検に伴走して合格を勝ちとったアニーパパが徹底解説しました。
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