今回は私の住んでいる神奈川県の公立中高一貫校の1つである神奈川県立相模原中等教育学校の「偏差値」「受検倍率」「進学実績」「塾の合格実績」などをまとめました。
本記事の初投稿は2020年ですが2021、2022、2023年受検も振り返りながら追記しています。
2024年受検も振り返りながら2024年3月、2025年と2026年受験も振り返って2026年7月に追記しています。

この記事は2020年に書いて以降、毎年少しずつ追記してきました。最後の加筆から時間が経ち、後輩の受検生ご家庭からのご相談も続いているので、2025年・2026年受検の最新データを追記しました。これまでの2020〜2024年の記述は、当時の受検の空気を残す意味でそのまま残しています。数字は新しくなっても、受検に向き合う気持ちや準備の本質は変わらないと感じています。
- 相模原中等教育学校のことを知りたい方
- 小5、小6で相模原中等教育学校の受検を検討しはじめた方
- 相模原中等教育学校に強い塾を知りたい方
- 相模原中等教育学校への併願を検討中の方

うちの娘が中学受験に挑戦したいと言い出したのが小5の頃でした。塾に通って本格的に公立中高一貫校の適性検査対策を開始したのは小5の終わりからです。
公立中高一貫校の受検は倍率も高く簡単な受検ではありません。しかし小5、小6からの準備でも十分に合格することが可能な検査だと感じています。
そして娘の受検に伴走して感じたのは「公立中高一貫校受検に挑戦させて良かった」ということです。
神奈川県立相模原中等教育学校とは?
相模原中等(神奈川県立相模原中等教育学校)は、神奈川県相模原市(神奈川県相模原市南区相模大野4丁目1番1号)にある公立(神奈川県立)の中高一貫校です。私立中学に比べ学費が安いこと、高い進学実績を誇ることなどから人気がある公立中高一貫校です。
相模原中等の教育目標は「人格の完成を目指し、高い知性と豊かな人間性をそなえ、心身ともに健全な、次世代を担う人材を育成する。」で次世代を担うリーダーを育成することを目指しており具体的には
- これからの国際社会に対応する幅広い教養と社会性・独創性を備える生徒
- 豊かな人間性とリーダーシップを備える生徒
- よりよい社会の構築に貢献できる生徒
を育成したい生徒像としています。相模原中等は高校から生徒募集をしない「中等教育学校」で毎年160名(男女 各80名)の募集を行います。
学校概要
| 名称 | 神奈川県立相模原中等教育学校 |
| 位置 | 神奈川県相模原市南区相模大野4丁目1番1号 |
| 開校年度 | 平成21年度(平成25年度までは県立相模大野高等学校と併設) |
| 校種 | 6年制による中等教育学校 |
| 課程・学科 | 前期課程(中学校相当3年)及び後期課程(高等学校相当3年) 後期課程は、単位制による全日制の課程 |
| 学校規模 | 960名(各学年4学級160名(男女各80名)・全24学級規模) ※今年度は、1年生・2年生については5学級・全26学級 |
| 学期 | 2学期制 |
| 授業時間 | 45分7校時を基本とした弾力的運用(前期課程) 100分授業を基本とした弾力的運用(後期課程) |
相模原中等教育学校の偏差値は?
四谷大塚の80偏差値(2027年度用・合不合判定テスト第1回)で見ると、県立相模原中等教育学校は男女とも62です。この記事を最初に書いた2020年は男女とも61、2023年時点で男子61・女子62でしたが、最新では男女とも62となり、じわじわと上がってきています。神奈川県内の公立中高一貫校の中でも、横浜サイエンスフロンティア附属中と並ぶトップクラスの位置づけが続いています。
相模原中等教育学校の偏差値は男子も女子も61(四谷大塚の80偏差値)です。同じくらいの偏差値の学校を探すと、(この記事を執筆した2020年には男女ともに偏差値61でしたが2023年3月に確認してみると男子61、女子62と偏差値が上がっていました)
- 青山学院横浜英和中学高等学校
- 法政大学第二中・高等学校
- 神奈川大学附属中・高等学校
- 山手学院中学校・高等学校
- 桐蔭学園中等教育学校
- 昭和学院秀英中学校
- 桐朋中学校
- 東邦大学付属東邦中学校
- 明治大学付属明治中学校
- 横浜市立南高等学校附属中学校
などがあります。

公立中高一貫校の適性検査という特殊な方法で選考を行うので一般的な偏差値があまり参考にならないと塾の先生も言っていました。ただ同じような偏差値の私立中学を受験する生徒が併願で受けてくるので、併願者のレベルとして参考にしてくださいと言っていました。
相模原中等教育学校の倍率は?
本文では2018〜2023年の倍率をご紹介しましたが、その後の倍率は次の通りです。開校当初の7倍前後からは、はっきりと落ち着いてきました。
2024年度:5.10倍 2025年度:5.10倍 2026年度:4.48倍(志願倍率は4.70倍)
(教育委員会発表の受検倍率ベース。志願倍率とは基準が異なります)
2026年度はついに5倍を下回り、ここ数年でもっとも低い倍率となりました。とはいえ、募集定員160名に対して700名以上が受検する狭き門であることに変わりはなく、しっかりした準備が必要な受検であることは、私が娘の受検に伴走した頃と同じです。
2024年

~2023年



神奈川県立相模原中等教育学校の2023年の倍率は6.14倍とここ数年では最も低くなっています。ただし募集定員160人に対し、志願者数は982人ですから依然として難易度の高い受検だと覚悟して挑戦する必要があると思います。
入試の倍率(実質倍率)は2020年で6.88倍、その前年は7.68倍でした。ここ数年は7倍前後で推移しています。
- 2020年:6.88倍
- 2019年:7.68倍
- 2018年:7.76倍
ちなみに2020年は志願者数1,145人のうち1,101人(男子534人・女子567人)が受検。倍率は男子6.68倍(前年度7.11倍)、女子7.09倍(同8.24倍)、平均6.88倍(同7.68倍)で募集定員が男女 各80名と決まっていて女子の受検者の方が多いので女子の倍率が高い傾向にあるようです。
相模原中等教育学校の評判は?
相模原中等教育学校の「みんなの中学情報」に記載されている評判を見ると神奈川県内462校中34位と非常に評価が高い学校です。特に「進学実績/学力レベル」(神奈川県内462校中11位)、「学習環境」(同24位)、「いじめの少なさ」(同8位)、「治安/アクセス」(同26位)などが高い評価です。逆に「先生」(同245位)、「施設」(同146位)や「制服」(同189位)などは少し低めです。
相模原中等教育学校の紹介動画
新型コロナウィルスの蔓延で学校説明会や文化祭などの行事が中止になったり、非公開になったりしました。受検者がモチベーションを上げる機会を奪われてしまっていることに配慮してのことだと思いますがYouTubeに学校紹介動画がアップされていました。
相模原中等教育学校の進学実績は?
本文では2018年度卒業生(東大・京大4名など)の実績をご紹介しましたが、その後、相模原中等の進学実績は大きく伸びています。学校・各種まとめによる2026年春卒業生の主な実績は次の通りです。
東大・京大:13名(うち東大10名) 一橋・東京科学大・旧帝大クラス:21名 国公立大学:計71名 早稲田・慶應・上智:124名 GMARCH:196名 医学部医学科:19名
私立では明治大学77名、早稲田大学56名、東京理科大学56名、慶應義塾大学41名など、層の厚さが際立ちます。本文の2018年度卒業生(東大・京大4名、早慶上智55名)と比べると、この数年で難関大学への合格者が大きく増えたことがわかります。神奈川県内の公立中高一貫校でも突出した実績です。
なお、本文に出てくる「東京工業大学」は2024年10月に東京医科歯科大学と統合して「東京科学大学」になったため、最新のデータでは東京科学大学として集計されています。
相模原中等の進学実績は同校が公表しています。公立中高一貫校の評価軸の目安が国公立大学への進学実績ですが、相模原中等は毎年卒業生の1/3が国公立大学に進学しています。

↑相模原中等、平塚中等は令和2年度、その他は令和3年の実績です。
| 県立相模原中等教育学校 | |
| 東大・京大 | 4 |
| 一橋・東工大・旧5帝大 | 11 |
| 国公立大学 | 38 |
| 早稲田・慶應・上智 | 55 |
| GMARCH | 18 |
| 海外大 | 0 |
| 年度 | 2018年度卒業生進路決定状況 |
※ 旧5帝大とは:北海道大学・東北大学・名古屋大学・大阪大学・九州大学を意味する GMARCHとは:学習院大学・明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学を意味する語 国公立大学は大学校、準大学含む 各学校の発表データをもとに作成。調査時期により数字が異なることがあります。 上記は過年度生を含まない数です。
相模原中等教育学校の募集概要
令和5年度(第15期生)入学者の募集および決定について
| 募 集 定 員 | 160名(男女 各80名) |
| 出願期間 | 令和4年12月26日(月曜日)から令和5年1月6日(金曜日) |
| 出願書類 提出期間 | 令和5年1月10日(火曜日)から同月12日(木曜日)まで (当該期間内の消印があるものを受け付ける) |
| 検 査 方 法 | 適性検査及びグループ活動による検査 |
| 検 査 期 日 | 令和5年2月3日(金曜日) |
| 合 格 発 表 | 令和5年2月10日(金曜日) |
相模原中等教育学校の各塾の合格実績
下記の本文で「急速に合格者を増やしている」と書いたSTEPは、その後さらに実績を伸ばしました。2025年・2026年の相模原中等への主要塾の合格実績は次の通りです。
2026年 臨海セミナー:48名 STEP:42名 中萬学院:17名 栄光ゼミナール:16名 日能研:12名
2025年 臨海セミナー:47名 STEP:31名 中萬学院:21名 四谷大塚:15名 日能研:14名
(各塾公式サイトの発表より)
ここ数年、急速に合格者を増やしているのが「STEP」です。神奈川県の公立高校の合格実績では高い成果を出しており社員講師比率が高く、講師の高い指導力には定評があり公立中高一貫校受検でも実績が出てきた状態かと思います。
県立中等教育学校を受検するなら体験授業は受けておきたいところです。
2024年
2024年の相模原中等教育学校への各塾の合格実績としては
- 1位:臨海セミナー:43名
- 2位:STEP:31名
- 3位:中萬学院25名
となりました。

2023年

- 臨海セミナー:33名
- 栄光ゼミナール:27名
- STEP:26名
2022年

- 臨海セミナー:40名
- 栄光ゼミナール:29名
- 中萬学院:24名

公立中高一貫校受検ではZ会や進研ゼミにも適性検査対策のオプション講座があり、相模原中等中等教育学校に21年はZ会32名、進研ゼミ20名が合格しています。
Z会や進研ゼミの単体受講だけでなく塾との併用も含まれるのではないかと思いますが、Z会や進研ゼミでも相模原中等中等教育学校へ多くの合格者を出しています。Z会では2022年からリニューアルで東京都立中(全校)や千葉県立中(千葉・東葛飾)などで出題される「長文読み取り問題」「複数の資料の読み取り問題」に対応する特別回も追加。志望校にあわせた対策が可能です。難解な出題形式に慣れ、限られた時間で正答にたどり着くためのトレーニングを行います。※5年生の8・12・3月号、6年生の10~12月号で出題します。
2023年 Z会、進研ゼミの合格実績
2023年度 Z会員公立中高一貫校合格実績
相模原中等教育学校 27名
2023年度 進研ゼミ小学講座 公立中高一貫校合格実績
神奈川県立相模原中等教育学校 12名
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過去問


受験ガイド

神奈川県立相模原中等教育学校の合格ライン
公中検模試の情報(2023年)
息子が受検した公中検模試の保護者説明会で公中検模試受検者を追跡調査した結果「合格最高点」「合格最低点」「不合格最高点」を教えてもらいました。
「合格最低点」よりも「不合格最高点」が高いのは、調査書の影響だと思われます。
相模原中等教育学校の配点(満点)
600点
相模原中等教育学校の合格最高点
470点(78.3%の正答率で合格最高点なんだそうです)
相模原中等教育学校の合格最低点
310点(正答率51.6%)
相模原中等教育学校の不合格最高点
340点(合格最低点よりも30点も高くて不合格なのには驚きです…)
まとめ
今回は神奈川県立相模原中等教育学校の「偏差値」「受検倍率」「進学実績」「塾の合格実績」などをご紹介しました。
※本記事は神奈川県立相模原中等教育学校のホームページや各塾のホームページなどの情報をもとに作成しています。受検をご検討の方々はご自身で各ホームページの情報もご確認下さい。
集団塾だけに頼らない ― 「集団塾+個別指導」という選択肢
ここまで塾別の合格実績を見てきましたが、最後に、2人の子どもの受検を経験した今だからこそ言える「集団塾との付き合い方」について書いておきたいと思います。
我が家は、娘が栄光ゼミナール、息子がenaという集団塾に通いました(息子のenaは、我が家が東京都との県境に住んでいて、隣駅の東京側にenaがあったためです。息子も神奈川県の公立中高一貫校を受検しました)。結論から言うと、集団塾に通わせたこと自体は間違いではありませんでした。適性検査対策のカリキュラムや情報量という点で、専門コースを持つ集団塾は非常に頼りになります。公立中高一貫校を目指すなら、まずはこうした集団塾を軸に据えるのが王道だと思います。ただ、「塾に任せきり」ではうまくいかなかったのも事実です。

集団塾で得たものを「どう自分のものにするか」でつまずきかけました。ここを個別のサポートで補うという考え方に、最終的にたどり着きました。
季節講習は「受けっぱなし」が一番もったいない
娘は栄光ゼミナールで夏期講習・冬期講習・春期講習といった季節講習や「栄光の森」(夏合宿)に参加しました。まず、これら季節講習そのものは受けて良かったと思っています。各塾がそれまでに培ってきたノウハウが凝縮されていて、短期間で一気に力を伸ばせる貴重な機会です。ここは集団塾の強みが最も発揮される場面だと感じます。
ただ、一つだけ強く言いたいのは、季節講習を「受けっぱなし」にしないことです。授業を受けただけで満足してしまうと、せっかくのノウハウも定着しません。大事なのは、その日にやった内容をしっかり復習して、自分のものにすること。これができるかどうかで、季節講習の成果は大きく変わってきます。
これは我が家の正直な感想ですが、高額な合宿に参加するくらいなら、その費用と時間を「季節講習の復習」に充てたほうが効果は高いのではないか、とも思っています。合宿には合宿にしか得られない良さ(受検生としての自覚や仲間との刺激など)もありますが、こと「学力を伸ばす」という一点で見れば、家庭教師などにマンツーマンで復習・定着させてもらうほうが、費用対効果は高いと感じました。つまり、集団塾で得たインプットを、いかにして自分のものにするか。ここに個別のサポートを組み合わせるのが、私がたどり着いた考え方です。
集団塾に通うだけで安心してはいけない ― 「補完」の視点
実際に2人の受検を経験して痛感したのは、集団塾には構造的にどうしても手が届きにくい領域がある、ということです。大きく3つあります。
一つ目は「一人ひとりのつまずきの分析」です。集団授業ではクラス全員に同じ解説をするため、「自分の子がどこでつまずいているのか」を個別に特定してもらうのは難しいのが実情です。
二つ目は「記述・作文の添削の量と深さ」です。適性検査は記述式が中心ですが、集団塾では一人あたりの添削にかけられる時間に限りがあります。娘が通った栄光ゼミナールも、息子が通ったenaも、作文添削が「誤字に×が書いてあるだけ」だったように、自分の答案が採点官にどう伝わるかは、第三者に細かく見てもらわないと客観視できません。
三つ目は「過去問演習期(小6秋以降)のピンポイントなフォロー」です。志望校の傾向に合わせた苦手分野の集中対策は、どうしても個別対応が必要になります。直前期の過去問演習は、娘の時は私と妻でサポートしましたし、息子の時はオンライン家庭教師の先生にお願いしました。
こうした「集団塾では補いきれない部分」を埋める手段として、近年は集団塾と個別指導・家庭教師を併用するご家庭が増えています。以下、私が実際に話を聞いたり運営したりしている2つの選択肢を紹介します。
「東大家庭教師友の会」を運営する株式会社トモノカイのPersonal Education(PE)部門(帰国子女やインターナショナルスクール生向けオンライン家庭教師「EDUBAL」(業界シェアNo.1)や、「東大家庭教師友の会」を運営する部門)で「オンライン東大家庭教師友の会」を担当されている方とお話させていただく機会がありました。
「オンライン東大家庭教師友の会」では、集団塾の授業や模試だけでは補いきれない「苦手分析」「記述添削」「勉強の型づくり」を、東大生・難関大生教師がマンツーマンでフォローしてくれるサービスもおこなっているとのことです。東京都最難関校「小石川中等教育学校」、国立の東大教育学部附属中、筑波大附属中などへの合格サポート実績があるとのことで、集団塾のカリキュラムと並行して弱点部分だけを補強したいご家庭に向いていると思います。
先日、このサービスで都立中高一貫校の適性検査対策を担当されている方から、対策のポイントを詳しくお聞きする機会がありました。以下は東京都立中を目指すご家庭に向けたお話で、神奈川の受検とは志望校が異なりますが、「記述力」「勉強の型」といった適性検査対策の勘所そのものは神奈川の公立中高一貫校受検にもそのまま通じる内容でした。長くなりますが、非常に参考になったので共有します。
公立中高一貫校の適性検査対策 ― 合否を分ける「記述力」と「勉強の型」
公立中高一貫校の受検は、かつての爆発的な人気に沸いた時期と比べると、近年は倍率が明確に落ち着いてきています。
制度が始まった当初(都立の適性検査は2005年スタート)は、対策法が確立しておらず「とりあえず受けてみよう」という記念受験組も多かったため、倍率は非常に高いものでした。都立第一号として2005年に中学入試を実施した白鷗高校附属中の初年度倍率は、実に13.21倍に達しています。その後も人気は続き、2015年前後の都立各校の受検倍率は6〜8倍台がずらりと並んでいました(2015年は白鷗8.32倍、両国7.18倍、桜修館6.76倍など)。
しかし、受検対策のノウハウが各塾で確立され、「相応の準備をしなければ受からない」というハードルの高さが広く知られるようになったこと、いわゆる記念受験層が減ったことなどから、倍率はここ数年で着実に低下してきました。2024年度には都立各校の受検倍率は最も高い九段でも4.58倍、平均では3.5〜3.6倍程度まで下がり、2025年度・2026年度も一般枠の応募倍率は平均3.5倍前後で推移しています。
ただし、この「倍率低下」は必ずしも合格しやすくなったことを意味しません。むしろ、記念受験の層が抜けて、しっかり準備してきた受検生が残るようになった結果でもあり、実質的な競争の質は下がっていないとも言われます。しかも公立中高一貫校は原則として一校しか受検できず、検査はすべて同日に実施されるため、限られたチャンスで確実に力を発揮する準備が欠かせません。
「オンライン東大家庭教師友の会」では、都立中高一貫校(白鷗、両国、小石川、桜修館、武蔵など)や、適性検査型入試を導入している国立中高一貫校(東京大学教育学部附属中等教育学校など)の受検を目指す小学5年生〜6年生を数多く指導してきました。公立一貫校に特化した大手進学塾(enaなど)の集団授業や合判模試のフォロー、そして「過去問演習期(小6の秋以降)」における記述・算数・作文のピンポイント添削・苦手分析指導で多くのご家庭に選んでいただいてきました。
この記事では、これまでの指導で見えてきた適性検査対策の勘所を、具体的なエピソードを交えてお伝えします。
まず押さえたい ― 適性検査は「私立入試」とはまったく別物
都立中受検対策をご説明する前に理解していただきたいのが、適性検査は私立中学の教科型入試とは求められる力が根本的に異なる、という点です。私立入試が国語・算数・理科・社会の教科ごとの知識と処理力を問うのに対し、公立一貫校の適性検査は、会話文や資料・グラフを読み取り、複数教科の知識を総合して「自分の考えを筋道立てて説明する」教科横断型の出題が中心になります。
多くの都立校では、検査が次の3つに分かれています。
適性検査Ⅰ
適性検査Ⅰは主に文章読解と400字前後の作文で、読み取る力と自分の考えを表現する力が問われます。
適性検査Ⅱ
適性検査Ⅱは表・グラフ・会話文など複数の資料を読み解き、理由を述べたり数値で裏付けたりする論理的思考の問題です。
適性検査Ⅲ
そして適性検査Ⅲ(実施校は一部)は、複雑な条件設定の中で図や計算を使って考える数理・条件整理の力を問います。小石川中等のように理数系の独自問題に強い学校、桜修館のように適性Ⅰの作文の比重が大きい学校など、学校ごとに配点や傾向が大きく異なるため、志望校の出題傾向を早めに把握することが第一歩となります。
いずれの検査に共通するのは、私立入試のような単純な○×の知識問題がほぼないということです。「なぜその式になるのか」「なぜその実験結果になるのか」を、言葉や図で採点官にわかりやすく伝える記述力こそが合否を分けます。
適性検査Ⅰ(文系・表現分野)― 「構成メモ」の確立とケアレスミス対策
文章を読んで自分の意見をまとめる作文は、多くの受検生が最初につまずくところです。ある生徒も、当初はアイデア出しや文章の組み立てに苦戦していました。加えて、国語の長文読解の「抜き出し問題」で、細かい誤字・脱字による失点が課題になっていました。
このとき担当教師がまず徹底したのが、集団塾の模試をベースにした「作文の構成メモ」の書き方です。いきなり原稿用紙に書き始めるのではなく、メモの段階でアイデアを整理してから書く習慣をつけました。あわせて、文章の趣旨を正確につかむために「文章の中で一番言いたい一文に線を引く練習」を繰り返し行いました。
抜き出しミスや誤字ミスについては、教師が一方的に注意するのではなく、「ミスを無くすために自分でリマインドのルールを決めてもらう」というアプローチを取りました。ミスを他人に指摘されて直すのではなく、自分でチェックの仕組みを持つことで、本番でも再現できる自立的な意識が育ちます。
構成メモがすっかり板についたことで、「メモを元にスムーズに書き切る型」が確立され、これが本人の大きな自信になりました。塾の日曜特訓の適性Ⅰでは「60点(誤字がなければ70点)」という高得点を獲得し、合判模試でも手応えを実感できるレベルまで文系の表現力が引き上がりました。
適性検査Ⅱ・Ⅲ(理系・融合分野)― 問題文の読み取りと「部分点をもぎ取る記述のコツ」
算数・理数分野の適性検査(適Ⅱ・適Ⅲ)に強い苦手意識を持つ受検生は少なくありません。ある生徒も、問題文の量が多く一見難しそうに見える立体図形や条件整理の問題で、問題文を正確に読み解けずに記述で苦戦していました。集団塾では一人ひとりが「どこでつまずいているか」の分析まで手が回りにくいため、教師は次のような個別対策を行いました。
まず、夏期講習でわからなかった問題を徹底的に洗い出し、「グラフや表の数値を式に書き換えていく作業」を隣で一緒に実践しました。一見難解に見える問題も、「落ち着いて条件を読み解けば難しくない」ことを体感させるのが狙いです。
そのうえで、理数の記述で確実に部分点をもぎ取るために、教師が汎用的な「実験系記述のコツ」を伝えました。ポイントは次の3つです。
- 数字(実験結果)や、上下左右・東西南北などの客観的な情報を用いて説明する
- 変化を説明するときは「変化前 → 変化後 → 前後の差と理由」の3ステップの順序で書く
- 一文を短く簡潔にし、書いた図には必ず言葉で説明を加える
授業では、解説をただ聞く受け身の姿勢にさせず、「どうしてこの解き方になるのか、口頭で説明してみて?」と問いかけ、能動的な思考プロセス(言語化)を徹底させました。自分の言葉で説明できることは、記述で採点官に伝わる答案を書けることと直結します。
「グラフと表」の演習を徹底的に3周やりきったことで計算速度が劇的に向上し、一つ教えればすぐに本質を理解できるまで理系脳が覚醒。苦手意識のあった算数分野を「楽しい!」と感じられるまでマインドが変化しました。本番直前には、レベルの高い「サイコロの立体図形問題」のような実戦的な初見問題に対しても、持ち前の空間想像力を発揮して短時間で自力で解き明かせるほど、思考力・記述力が大きく開花しました。
総括 ― 高倍率を突破するための「正しい勉強のやり方」
これまでの指導から見えてきた、公立・国立一貫校の適性検査対策における最大の注意点は2つあります。
一つは、集団塾のカリキュラムをこなすだけで満足せず、解いた過去問を「その日中」に必ず復習・解き直しすること。もう一つは、記述のプロセスを第三者に細かく添削してもらうことです。適性検査は記述式が中心である以上、自分の答案が採点官にどう伝わるかは、自分一人ではなかなか客観視できません。
前述のとおり、適性検査には単純な知識問題がほぼありません。「なぜその式になるのか」「なぜその実験結果になるのか」を言葉や図でわかりやすく伝える記述力が合否を分けます。だからこそ、夏休みのうちに自分なりの「勉強ルーティン」を確立し、10月・11月の綿密な学習計画を先回りで立てておくことが重要になります。
集団塾での学びを土台にしながら、一人ひとりのつまずきに合わせて「正しい勉強のやり方の型」を授け、受け身ではない能動的な思考力を育てること。これこそが、高倍率の公立・国立一貫校受検を突破する最大の鍵です。
指導・合格実績
これまで、東京都立小石川中等教育学校、東京大学教育学部附属中等教育学校、筑波大学附属中学校をはじめとする公立・国立一貫校への合格をサポートしてきました。集団塾の授業や模試だけでは補いきれない「苦手分析」「記述添削」「勉強の型づくり」の部分を、東大生・難関大生教師がマンツーマンでお手伝いします。適性検査対策にお悩みのご家庭は、ぜひ一度ご相談ください。
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