都立中高一貫校(公立中高一貫校)が良いって聞いたんだけど難しいって聞くのよね…
一般の公立中学と変わらない学費で高い大学合格実績から全国的に人気が高い「公立中高一貫校」
東京都でも小石川中等教育学校や桜修館中等教育学校などの都立と千代田区立の九段中等教育学校など計11校の「公立中高一貫校」があり高い人気となっています。
ただ公立中高一貫校受検は「適性検査」という特殊な検査で選抜されます。
この「適性検査」は、一般的な中学受験でおこなわれる国語・算数・理科・社会の四科受験とは異なるので注意が必要です。
「適性検査」って何?
今回は、東京都の公立中高一貫校(都立/区立)の「倍率」「偏差値」「大学進学実績」「塾や通信教育ごとの各校の合格実績」などをご紹介します。
東京都の公立中高一貫校(都立/区立)
東京都には東京都立の小石川中等教育学校、桜修館中等教育学校、立川国際中等教育学校、南多摩中等教育学校、三鷹中等教育学校と千代田区立の九段中等教育学校の計6校の中等教育学校があります。
また東京都立の白鷗高校、両国高校、武蔵高校、富士高校、大泉高校の5校の附属中学校が公立中高一貫校となっており中等教育学校が合計11校あります。
エリア的には23区内には千代田区立九段中等教育学校を含めて7校あり、三鷹市、武蔵野市、立川市、八王子市にそれぞれ1校ずつの合計11校です。
学校名 | 住所 | 最寄り駅 | 募集定員 (一般募集枠) |
小石川中等教育学校 | 東京都文京区本駒込2-29-29 | 千石駅(都営三田線)から徒歩3分 巣鴨駅(JR山手線,都営三田線)から徒歩10分 駒込駅(JR山手線,東京メトロ南北線)から徒歩13分 | 155名 |
桜修館中等教育学校 | 東京都目黒区八雲1-1-2 | 都立大学駅(東急東横線)から徒歩10分 | 160名 |
立川国際中等教育学校 | 東京都立川市曙町3-29-37 | 立川駅(JR中央線)からバス12分(または徒歩18分) 立川北駅(多摩都市モノレール)からバス12分(または徒歩18分) | 130名 |
南多摩中等教育学校 | 東京都八王子市明神町4-20-1 | 八王子駅(JR中央線)から徒歩12分 京王八王子駅(京王線)から徒歩3分 | 160名 |
三鷹中等教育学校 | 東京都三鷹市新川6-21-21 | 三鷹駅(JR中央線)からバス 吉祥寺駅(JR中央線)からバス 調布駅(京王線)からバス 仙川駅(京王線)からバス | 160名 |
白鷗高校附属中学校 | 東京都台東区元浅草3-12-12 | 新御徒町駅(都営地下鉄大江戸線、つくばエクスプレス)から徒歩10分 田原町駅(東京メトロ銀座線)から徒歩12分 蔵前駅(都営地下鉄大江戸線・浅草線)から徒歩12分 御徒町駅(JR 山手線)からバス5分+徒歩2分 | 135名 |
両国高校附属中学校 | 東京都墨田区江東橋1-7-14 | 錦糸町駅(JR総武線、横須賀線、東京メトロ半蔵門線)から徒歩5分 住吉駅(東京メトロ新宿線)から徒歩10分 菊川駅(東京メトロ新宿線)から徒歩10分 | 120名 |
武蔵高校附属中学校 | 東京都武蔵野市境4-13-28 | 武蔵境駅(JR中央線,西武多摩川線)北口から徒歩10分 田無駅(西武新宿線)からバス(武蔵境駅行き桜橋下車)+徒歩7分 ひばりヶ丘駅(西武池袋線)からバス(武蔵境駅行き桜橋下車)+徒歩7分 | 160名 |
富士高校附属中学校 | 東京都中野区弥生町5-21-1 | 中野富士見町駅(東京メトロ丸ノ内線)から徒歩3分 新中野駅(東京メトロ丸ノ内線)から徒歩12分 | 160名 |
大泉高校附属中学校 | 東京都練馬区東大泉5-3-1 | 大泉学園駅(西武池袋線)南口から徒歩約8分 | 120名 |
千代田区立九段中等教育学校 | 東京都千代田区九段北2-2-1 | 九段下駅(東京メトロ東西線・半蔵門線、都営新宿線)から徒歩3分 飯田橋駅(JR総武線、東京メトロ東西線・有楽町線・南北線、都営大江戸線)から徒歩10分 | A 80名 B 80名 |
都立中高一貫校では高校募集停止
東京都立の白鷗高校、両国高校、武蔵高校、富士高校、大泉高校の5校の附属中学校が公立中高一貫校となっているとお伝えしました。
いずれの学校も高校での生徒募集をおこなっていましたが、富士高等学校附属中学校と武蔵高等学校附属中学校が2021年に高校募集を停止し、白鷗高等学校附属中学校・両国高等学校附属中学校・大泉高等学校附属中学校の3校も2022年度に高校募集を停止しました。
これによって東京都内にある公立中高一貫校11校で高校からの生徒募集が停止されました。
都立中高一貫校の魅力
6年間の一貫教育が受けられる
都立中高一貫校では中高の6年間、一貫した教育を受けることができます。
数学だと「体系数学」、英語だと「NEW TREASURE」「PROGRESS IN ENGLISH」など私立の中高一貫校などでも使われる検定外教科書を採用している学校も多いです。
中学と高校で学習カリキュラムが分断されることがないため、授業が効率的に進み、余裕を持って大学受験に備えることが可能です。
特徴的な学習指導
都立中などの公立中高一貫校は、1999年に開始された文部科学省主導による中高一貫教育制度の一環として設立されました。中高6年間の教育を通じて次世代を担うリーダーを育成することを目的に掲げ、公立でありながら多様なカリキュラムを経験できる点が人気の要因となっています。
英語教育では、東京都の英語教育推進校に指定されている「桜修館中等教育学校」や「南多摩中等教育学校」、理数系教育では文部科学省のスーパーサイエンスハイスクールにも指定されている「小石川中等教育学校」など、特定の分野で特徴的な学習指導が行われています。
一般の公立中学と変わらない学費
公立中高一貫校が開校する前は、特徴的な中高一貫教育は私立中学でしか受けることが出来ませんでした。
東京大学をはじめとした難関大学の合格者を輩出する学校の多くが中高一貫校だったことからも中高一貫校の教育効果が高いと思われてきましたが、公立中学校と比較して高い学費等が必要でした。
都立中などの公立中高一貫校の授業料は、入学後3年間は基本的に無料で、後半3年間も一般の公立高校と同程度です。私立中学は入学金や施設利用料なども必要となるため、6年間でかかる費用の差は300万円以上になるとも言われています。
費用を公開している東京都の中等教育学校の例および東京都の私立中学校と私立高校の学費の平均値から見ると、6年間の合計費用は公立中高一貫校は約187万円なのに対し私立中高一貫校は約489万円と300万円以上の差があります。
- 公立中高一貫校:約187万円
- 私立中高一貫校:約489万円
ただし多くの都立中高一貫校が海外研修や海外留学などをプログラムに組み込んだり推奨したりしています。私立中高一貫校にも引けを取らない充実したカリキュラムだと思いますが費用負担は発生するケースが多く、通常の公立中学と同じと言うわけにもいきません。
都立中高一貫校の選抜の特徴
都立中高一貫校の適性検査日程は同日
都内の私立中学入試は2月1日~3日を中心に行われる学校が多く、1人で複数校を受験する併願受験が一般的です。しかし、都立中高一貫校の適性検査は各校とも同日(2023年は2月3日)に実施されるため私立中学入試のように都立中高一貫校同士を併願受検することはできません。
都立中高一貫校の検査は適性検査
都立中高一貫校では、「学力検査」ではなく、「適性検査」を実施して6年間の一貫教育に「適性」があるかどうかをみて、適性がある受検生に入学をしてもらう形式を取っています。
また都立中高一貫校で実施される「適性検査」では「国語」「算数」「理科」「社会」などの教科別の試験はおこなわれません。
「適性検査」では小学校6年間の学習内容を基にした、思考力、判断力、表現力を問われる出題内容となっています。
都立中高一貫校の適性検査は、学校ごとに適性検査Ⅰ、適性検査Ⅱの2つ、もしくは適性検査Ⅲを含む3つの検査を実施しています。
適性検査Ⅰは文章読解と作文という国語系、適性検査Ⅱは大問3題の検査であり、大問1は算数分野、大問2は社会分野、大問3は理科分野の出題となっています。
適性検査Ⅲは大問2題の理系の問題であり、大問ごとに算数分野、理科分野のいずれを出題するかは、学校ごとに異なります。
東京都では千代田区立九段中等教育学校を除く都立中高一貫校10校は問題を共同作成する仕組みを採用しており、この仕組みで作成される「共同作成問題」と各校で作成する「独自作成問題」を組み合わせて適性検査問題が作成されます。
報告書も適性を判断する材料に
都立中高一貫校では適性検査以外に、事前に報告書を提出する必要があります。
選考で使用される比率は学校によって違いますが比率が高い「桜修館中等教育学校」や「富士高校附属中学校」は報告書点と適性検査の配点比率が3割と7割となっています。他校では「小石川中等教育学校」「武蔵高校附属中学校」「立川国際中等教育学校」が報告書点と適性検査の配点比率が25%と75%、その他の6校は20%と80%となっています。
都立中高一貫校の報告書点は小5と小6(九段中等教育学校は小4・小5・小6)の9科目の成績を点数化して算出されます。
和5年度(2023年度)の東京都 公立中高一貫校受検の倍率※23/2/10追記
東京都教育委員会は2023年2月3日、2023年度(令和5年度)都立中等教育学校と都立中学校の一般枠募集の受検状況を発表しました。
都立中等教育学校と都立中学校10校の平均受検倍率は前年度比0.18ポイント減の4.22倍。学校別の受験倍率は三鷹中等教育5.54倍がもっとも高い倍率となりました。
学校別の受検倍率は
- 三鷹中等教育学校:5.54倍(前年度:5.90倍)
- 桜修館中等教育学校:5.40倍(前年度:5.17倍)
- 両国高校附属中学校:4.84倍(前年度:4.88倍)
- 小石川中等教育学校:4.81倍(前年度:4.59倍)
- 大泉高校附属中学校:4.59倍(前年度:4.60倍)
- 白鷗高校附属中学校:4.55倍(前年度:5.43倍)
- 南多摩中等教育学校:4.14倍(前年度:4.24倍)
- 立川国際中等教育学校:3.80倍(前年度:5.09倍)
- 富士高校附属中学校:3.59倍(前年度:3.81倍)
- 武蔵高校附属中学校:2.94倍(前年度:3.09倍)
2022年度と比べて受検倍率が増加したのは、小石川中等教育学校(前年比0.13ポイント増)、両国高校附属中学校(同0.08ポイント増)、桜修館中等教育学校(同0.25ポイント増)、大泉高校附属中学校(同0.1ポイント増)の4校でした。
両国高校附属中学校と大泉高校附属中学校は22年度から高校からの募集を停止し中学からの入学生を120人から160人に増加させたことで倍率が低下した反動もあったようです。
千代田区立九段中等教育学校では、区分A(千代田区内)が1月18日と19日、区分B(東京都内)が1月11日から17日まで出願を受け付け、2月3日に検査を実施しました。同校が2月3日に発表した受検状況によると、受検倍率は区分Aが男子2.38倍、女子2.28倍、計2.33倍。区分Bが男子3.93倍、女子5.48倍、計4.70倍。2022年度に比べて、区分Aは0.02ポイント増加、区分Bは0.54ポイント減少しました。
令和4年度(2022年度)の東京都 公立中高一貫校受検の倍率
東京都の公立中高一貫校の受検倍率は3倍から5倍と、2008年に立川国際中等教育学校や武蔵高校附属中学校は、それぞれ14.0倍と14.3倍だったことを考えると落ち着いています。
2022年度全体の平均倍率を見ると、前年度比0.47ポイント減の4.40倍となっています。
大きな変化があった両国高校附属中学校と大泉高校附属中学校は22年度から高校からの募集を停止し中学からの入学生を120人から160人に増加させたことで倍率が低下しました。
21年度には富士高校附属中学校と武蔵高校附属中学校も高校からの入学生の募集を停止し、中学からの入学者を増加させている。23年度からは白鷗高校附属中学校も高校からの募集を停止することを発表しており受検倍率は現状を維持・減少する傾向は続くと思われます。
受検倍率が落ち着いてきたことは確かですが、都立中全体で7,152名が応募して、合格したのは1,535名なので5,617名がご縁がなかったわけで非常に難易度が高い受検だと思います。
東京都 公立中高一貫校の偏差値
公立中高一貫校の受検は作文問題など記述式問題が多いことと報告書(小学校で作成してもらう書類)などで選考されるため、偏差値で合否判定が出しづらいと言われます。
「四谷大塚の偏差値」は合不合判定テスト結果を元に算出されており、私立中併願者のレベルを知るのに参考になります。
東京都の公立中高一貫校で最も偏差値が高いのは小石川中等教育学校で男女ともに偏差値67となっています。
同じ四谷大塚の偏差値だと67は「渋谷教育学園渋谷中学校」「早稲田中学校」などで小石川中等よりも偏差値が高いのは開成中や桜蔭中など男女御三家や筑波大付属駒場中など国立中の一部のみになります。
東京都の公立中高一貫校の大学進学実績(2021年度)
東京都のの公立中高一貫校の大学進学実績では小石川中等教育学校が東京大学、京都大学に合計23名の合格者を出し、次いで武蔵高校附属中学校が同じく合計13名と多くの合格者を出しています。
※高校募集を行う学校は、卒業生数から高校入学者数を引いた数で合格率を計算しています。
※合格者の内訳(現役・浪人)については学校により異なります。
東京都 公立中高一貫校の大学進学実績(2022年)
小石川中等の2022年の実績もホームページに掲載されていました。2022年の速報値だと東京大学に20名(現役19名)、京都大学に4名となっていました。
両国高校附属中学校は令和3年は現役での東京大学入学者は0名(既卒生で1名)で過去5年で平成29年の4名から平成30年:3名、平成31年:5名、令和2年:6名から減少してしまいました。
桜修館中等教育学校も令和3年は現役での東京大学入学者は4名(既卒生で1名)の合計5名で過去3年では平成31年:7名、令和2年:9名から減少していました。
東京都の公立中高一貫校に合格するには
適性検査は科目ごとに分かれておらず複数の教科が混ざったような形式の問題です。
過去の適性検査では、音楽や体育の要素が混じった問題も出題されたことがあります。
なので、勉強方法や対策も一般の中学受験とは違ってきます。
したがって適性検査を解くための学習が必要となります。(適性検査対策専門のカリキュラムを提供する塾もあります)
ちなみに公立中高一貫校受検では「塾なし」で合格するお子さんもいるようです。
私の同僚に都立中高一貫校から東京大学に進学した方がいますが、話を聞いたところ塾、家庭教師で習ったことはないそうです。
塾や通信教育の東京都 公立中高一貫校 合格実績(2022年)
東京都の公立中高一貫校では、区立九段中を含む全ての塾でenaが合格者数No.1です。
とは言えena一択って、わけでもないと思います。
志望校の適性検査に精通している講師がいることが大前提だと思いますが、教室に行って講師の先生や教室長の先生などと話をして決めるのが良いと思います。
例えば早稲田アカデミーでは錦糸町校と池袋校で公立中高一貫校コースがあると電話で問い合わせをした時に言っていました。小石川中や両国中などを目指す場合は選択肢になるかもしれません。他にも栄光ゼミナール、臨海セミナー、早友学院、早稲田進学会などは公立中高一貫コースがあるので近くにある場合は選択肢として検討してみても良いと思います。
現在、次男がenaの春期講習を受講させてもらっていますが、春期講習を受けさせてもらう前に授業を見学させてもらったのですが、その教室は授業中の演習中に生徒が立ち歩くなど、衝撃的な授業でした。※詳しくは下記の記事で紹介しています。
結局、近くの別の教室を見学させてもらい、その教室は問題もなく、生徒が演習中も選定が教室中を見て回るなど、しっかりした授業が行われていたので、その教室に通わせています。
塾選びは、とても重要です。ホームページなどで合格者数だけみて決めてしまうのは避けた方が良いと思います。実際に教室を見学したり、教室長などの話を聞くなどして決めると良いと思います。
ちなみに次男は「ena」「臨海セミナー」「栄光ゼミナール」の季節講習を体験したうえで、本人が一番授業の質が高く、相性が良いと感じた「ena」に正式に入塾しました。
塾の合格実績(2022年)
通信教育の合格実績(2021年※2022年の実績が掲載されていないため(まだ集計出来ていないのだと思います))
東京都の公立中高一貫校に「進研ゼミ」「Z会」で合格している人が数多くいます。
通信教育だけで合格した人ばかりでなく塾との併用だったりもあると思いますが。
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まとめ
今回は東京都の公立中高一貫校の最新の「受検倍率」「偏差値」「大学進学実績」「各塾ごとの合格実績」などを、ご紹介しました。
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