都立小石川中等教育学校は都立小石川高校を設置母体として平成18年に中等教育学校として開校しました。前身の府立五中は大正7年(1918年)に創立しており2018年に100周年を迎えた伝統校です。
東京都立の中高一貫校はもちろん、全国の公立中高一貫校の中でも最難関の公立中高一貫校です。
この記事は、娘の公立中高一貫校受検を決めた2020年に書き始めました。
その後、娘は2022年に無事に公立中高一貫校に入学することができました。
公立中高一貫校受検の検討を開始した当時の知識をフォローする形で、2023年、2024年にも最新の数値なども追加しながら加筆しています。
都立小石川中等教育学校の評判は? 偏差値、進学実績、塾の合格実績など
私の住んでいる神奈川県の公立中高一貫校の「偏差値」「受検倍率」「進学実績」「塾の合格実績」などをまとめてきました。
神奈川県以外の公立中高一貫校も紹介していこうと思います。今回は東京都立小石川中等教育学校です。
都立小石川中等教育学校とは?
都立小石川中学(東京都立小石川中等教育学校)は、東京都文京区(東京都文京区本駒込2-29-29)にある公立の中高一貫校です。私立中学に比べ学費が安いこと、高い進学実績などが人気の公立中高一貫校の中でもトップクラスの進学実績で人気です。
育てたい生徒像
- 現状に満足せず、高い志をもち、自らの個性と能力を自ら開拓する生徒
- 国際社会に生きる日本人として、幅広い教養と豊かな感性及び高い語学力を身に付けた生徒
- 自然科学など様々な場面・分野で活躍できるリーダーを目指す志の高い生徒
特色
都立小石川中は大正7(1918)年に府立五中として開校しました。
初代校長の伊藤長七は、教育信念として「詰め込み受験教育を否定し、自ら究める力を養う。」「自律の精神を養う。」「科学する研究心を養う。」の3つをあげていました。100年以上たった今でもその理念は受け継がれ、教育理念「立志」「開拓」「創作」を実現する具体的な方針として小石川教養主義、理数教育、国際理解教育を3つの柱とした教育活動を展開しています。
特色1:小石川教養主義
文系・理系にクラスを分けずに全員がすべての教科・科目をバランスよく学ぶこと、4年生から自由選択科目として第2外国語を学べること、6年生で週22時間の特別選択講座を配置していることです。
また、教育課程上最大の特色は、全員が6年間を通して課題探究型学習「小石川フィロソフィー1~6」に週1~2時間取り組むことです。
- すべての教科・科目を学ぶ
- 小石川フィロソフィー(課題発⾒⼒、継続的実践⼒、創造的思考⼒)
- 第2外国語
- 小石川セミナー
- 充実した学校図書館
特色2:理数教育(SSH)
- SSHの取り組み
- 6年間を貫く課題研究
- 高度な理数系カリキュラム
- 科学的思考力をもったグローバルリーダーの育成
- 大学との連携や接続
- 教員の指導力の向上
特色3:国際理解教育
- 東京グローバル10の指定
- 外国人教員の活用
- ライティングワークショップ
- 語学研修
- 国際交流
- 国際系コンテスト近年の実績
- 留学関連
東京都立小石川中等教育学校 学校紹介
コロナ禍で学校見学や行事(体育祭や文化祭など)への参加が難しくなったことで各学校が学校紹介動画を作成して公開するケースが増えました。
小石川中等も学校紹介動画(生徒さんによる学校紹介動画)があるのでご紹介します。
都立小石川中の偏差値、受検倍率
都立小石川中の偏差値、受検倍率は
都立小石川中の偏差値は?
都立小石川中の偏差値は男子、女子ともに66(2020年現在)(四谷大塚の80偏差値)と言われています。同じくらいの偏差値の学校を探すと、
- 広尾学園中学校
- 市川中学校
などです。
2020年には男女ともに偏差値66でしたが、2022年4月現在は、男女ともに偏差値67に上がっていました。※四谷大塚の80偏差値
同じ偏差値67の学校は
- 渋谷教育学園渋谷中学校(東京)
- 早稲田中学校(東京)
- 栄光学園中学校(神奈川)
- 四天王寺中学校(大阪府)
- 西大和学園中学校(奈良県)
など各エリアの最難関校ばかりです。
ただし公立中高一貫校の受検は作文問題など記述式問題が多いことと、面接/報告書(小学校で作成してもらう書類)などで選考されるため、偏差値で合否判定が出しづらいと言われます。
四谷大塚の偏差値は私立中併願者のレベルを知るのに参考にするのが良いと思います。
都立小石川中の倍率は?
都立小石川中の受検倍率は2020年で5.69倍、その前年は6.66倍でした。
- 2020年:5.69倍
- 2019年:6.66倍
- 2018年:6.70倍
- 2017年:6.44倍
2020年は882人が受検で倍率は5.69倍でした。
2022年 受検倍率
2022年受検では、とうとう5倍を切って4.59倍でした。
ただ700名以上が受けて155名しか合格できないので、難易度の高い受検でることは変わらないと思います。
2023年 応募倍率
2023年は応募倍率4.81倍と昨年の4.59倍よりも倍率が高まりました。
都立小石川中の評判は?
みんなの中学情報に記載されている評判を見ると東京都777校で「進学実績/学力レベル」は20位と非常に高い評価です。他にも「校則」(同50位)、「治安/アクセス」(同55位)「学習環境」(61位)など全般的に高い評価ですが「先生」(同419位)「制服」(同369位)などが低めです。
小石川中等の制服
前期課程(中学生)はブレザースタイルの制服を着用します。
女子は2種類のスカートとズボン、男子は2種類のズボン、ネクタイは2種類のものから選択できます。セーターとベストも学校が指定するものが用意されています
後期課程は授業を受けるのにふさわしい服装を各自で考え、制服またはそれに準じた品位ある服を着用します。
都立小石川中の学習進度
都立小石川中等教育学校に通われている方のお話をお聞きすると学習進度はかなり早いです。
特に「数学」と「英語」で苦戦している生徒さんが多い様です。
数学は適性検査でも理系適性を見られるので適性検査対策をしっかりするのが一番の対策になりますが、英語は入学時点では特に何の基準もありません。ただ中3の段階で英検2級程度(英検公式サイトでは「高校卒業程度」とされるレベルです)は取得を目指す必要があるようなので小学生のうちから、ある程度準備しておきたいところです。
都立小石川中等教育学校は東京都教育委員会が指定している東京グローバル10(次代を担うグローバル・リーダー育成に向けた学校の取組を支援する制度で都立高等学校及び都立中等教育学校の中から10校を選定)にも選ばれています。
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都立小石川中の進学実績
2022年度大学入試合格者数(現浪合計/現役)
2022年度で東京大学に現役で19名(浪人で1名)、京都大学に現役で4名、その他の国公立大学に現役で87名(現役/浪人合わせて99名)うち医学部医学科に現役で8名(浪人で2名)の合格実績を出しています。
2022年度大学入試合格者数(現浪合計/現役) (7月7日段階)
令和2年
令和2年で東京大学に現役で10名(浪人で10名)、京都大学に現役で5名(浪人で5名)、その他の国公立大学に現役で40名(浪人で52名)うち医学部医学科に現役で2名(浪人で5名)の合格実績を出しています。
過去5年の合格実績
都立小石川中の募集概要
都立小石川中は6年間一貫教育を行っており、高校からの入学、転入学、編入学等はありません。
令和3年度生徒募集について
〇募集人数
男子80名女子80名 計160名
〇特別枠募集
5名以内
〇一般枠募集
募集人数から特別枠募集で入学者として決定された人数を、男女別に差し引いた数
〇検査日
特別枠募集 令和3年2月1日(月)
一般枠募集 令和3年2月3日(水)
〇合格発表
特別枠募集 令和3年2月2日(火)午前9時
一般枠募集 令和3年2月9日(火) 午前9時その他、詳しくは都立小石川中のホームページをご覧下さい
都立小石川中の各塾の合格実績
都立小石川中 | |
ena | 65 |
早稲田アカデミー | 38 |
早稲田進学会 | 36 |
SAPIX | 35 |
栄光ゼミナール | 23 |
日能研 | 22 |
早友学院 | 1 |
2022年 各塾の合格実績
小石川中等では「ena」「早稲田進学会」「SAPIX」が合格者数TOP3な部分は2020年と変わりません。他の都立中よりも「SAPIX」「早稲田アカデミー」「日能研」など中学受験塾の比率が高くなっています。
※四谷大塚は実績が掲載されていなかったため掲載しておりません。
小石川中等の受検を考えているご家庭は「SAPIX」「早稲田アカデミー」「日能研」「四谷大塚」などの中学受験塾に通わせているケースも多いと思います。
ただ難関国/私立中の受験を考えているお子さんでも適性検査対策はおこなった方が良いと思います。難関国/私立中の受験を考えているお子さんは「enaの日曜特訓」やZ会/進研ゼミなどを併用しているケースが多いようです。
ちなみに2022年のenaの春期講習を次男が受講した時の体験談なども投稿しているので興味があればご一読ください。
2023年 各塾の合格実績
小石川中等教育学校では「ena」「SAPIX」「早稲田進学会」「早稲田アカデミー」が合格者数TOP3です。他の都立中よりも「SAPIX」「早稲田アカデミー」「日能研」など中学受験塾の比率が高くなっています。
2023年は特に「SAPIX」の合格者数が増加しています。
2021年 Z会、進研ゼミの合格実績
Z会、進研ゼミだけで合格しているお子さんは少ないと思いますがZ会、進研ゼミのホームページではZ会33名、進研ゼミ8名が小石川中等に合格しているようです。
※2022年4月時点ではZ会も進研ゼミも2022年実績は公開していません。
この合格者数には塾との併用も含まれると思いますが、Z会は2022年度からは東京都立中(全校)や千葉県立中(千葉・東葛飾)などで出題される「長文読み取り問題」「複数の資料の読み取り問題」に対応する特別回も追加しています。難解な出題形式に慣れ、限られた時間で正答にたどり着くためのトレーニングを行います。※5年生の8・12・3月号、6年生の10~12月号で出題されます。
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都立小石川中の過去問
※声教の中学過去問シリーズの出版予定日は2023年8月21日です。
国際理解教育
Global Education Network 20
令和4年4月1日から令和7年3月31日までの3年間、東京グローバル人材育成指針に基づく先進的な取組を推進する学校として、東京都教育委員会から指定されています。英語教育や国際交流等のグローバル人材育成に関する取組を推進しています。
- SDGs等の国内外の課題解決に関する生徒の研究・発表の実施
- 海外の学校等と継続的な国際交流
- 海外大学等進学支援等を活用した海外留学の促進 など
国際理解教育
オンライン英会話
英語の授業では、生徒一人一人にタブレットパソコンが渡され、フィリピンの講師と3年生と5年生の全員が約30分にわたる一対一の英会話に取組んでいます。
東京体験スクール
東京都の事業で行っているもので、小石川中等教育学校の生徒宅にホームステイをし、バディと一緒に学校生活を送ります。
- 2024年 フィンランド6名
- 2019年 カナダ2名、ニュージーランド2名
- 2018年 オーストラリア3名、フィンランド1名
海外学校間交流推進校
小石川中等教育学校の特色ある教育活動のひとつである「国際理解教育」を通して、世界での多様な価値観を理解し、将来、国際的な舞台で活躍できる人材の育成を目指しています。 海外の学校との交流を積極的に行い、海外の同世代と接することで異なる文化や考え方に触れ、多様性を受け入れる体験をしています。
令和5年7月14日 アメリカニューメキシコ州高校生7名(本校生徒3,4,6年)
令和5年10月16日 タイ高校生20名(本校生徒4年)
令和5年11月14日,15日 フィンランド高校生12人(本校生徒3,4,5年)
令和5年11月16日 シンガポール高校生20人(本校生徒5年)
令和5年12月19日~25日 ニュージーランド高校生1人(本校生徒4年)
令和6年4月18日 台北市立建国高級中学20名
令和6年5月15日 タイ大学生20名
令和6年5月21日 シンガポール交流校Jurong Secondary School 教員同士の交流
令和6年6月19日、20日 シンガポール交流校Jurong Pioneer Junior College20名
令和6年7月8日~12日 東京体験スクール(フィンランド高校生6名)
外国人講師の活用
小石川中等教育学校には6名の外国人教員が勤務しており、ALT(外国人英語等教育補助員)3名のほか、JET(英語等指導助手)3名がほぼ通年で学校生活に関わっています。
出身国:アメリカ2名、イギリス1名、カナダ1名、オーストラリア1名、フィリピン1名
英語の授業だけでなく、小石川フィロソフィー3では社会科の教員と様々な立場から歴史観を考察させる授業を行ったり、小石川フィロソフィー5では海外修学旅行で行う研究交流に向け、Abstractや発表原稿の添削指導やプレゼンの個別指導を行っています。
語学研修
国内語学研修(2年生全生徒、2泊3日)
海外語学研修に向け、国立オリンピック記念青少年総合センターで英語のみの生活体験を行います。英語を聞いたり話したりする力の向上、英国式の生活の理解、英国式のマナーやエチケットの理解をねらいとしています。
研修中はスキットタイム、12講座の英語のレッスンなどが設定されており、8名のグループに、1名の外国人講師が担当します。最終日にはスキットコンテストがあり、研修の成果を発表します。
海外語学研修(3年生全生徒、2週間)
夏休みに2週間、オーストラリアのアデレードで、1 人1 家庭のホームステイをします。現地校8校に分かれて通い、生きた英語を学ぶことができます。
8校に分かれて研修
南オーストラリア州教育省との連携により、1 校20名程度の環境で学習できます。
Underdale 校 Wirreanda 校 Glenunga 校 Marryatville 校
Plympton 校 Henley 校 Norwood Morialta 校 Golden Grove 校
海外研修旅行(5年生全生徒、3泊5日)
第3学年で実施する海外語学研修の学習を踏まえ、アジアの多民族国家であるシンガポールやマレーシアの社会・生活・文化などに対する理解を深めることを目的として全生徒が参加する海外研修旅行を実施します。
また、シンガポールでは連携校4校との学校交流を通して、世界と自己の関わり方や我が国の世界に果たすべき役割について考えを深め、国際社会に生きる日本人としての自覚を一層高めます。
国際交流
海外の高校生が小石川中等教育学校の学校生活を体験
年間を通して世界各国の中高生が小石川中等教育学校を訪れています。主に3年生から5年生が授業や部活動を通して異文化体験をはかります。
2024年 台湾、シンガポール、タイ、オーストラリア、フィリピン
2023年 アメリカ、シンガポール、タイ、フィンランド、ニュージーランド
2022年 アメリカ、トルコ
2020年 香港
2019年 オーストラリア、シンガポール、中国、カンボジア、ラオス他
2018年 シンガポール、台湾、タイ、カンボジア
2017年 オーストラリア、シンガポール、カンボジア、台湾、韓国
各種海外留学
トビタテ!留学JAPAN
「トビタテ!留学JAPAN」は、文部科学省が2014年にスタートした官民協働で取り組む海外留学支援制度です。期間、行先、目的をはじめ、留学プランは希望者自身が作成するので、多岐にわたる経験をすることができます。
2019年度には、小石川中等教育学校からは5名の生徒が採用され、英語圏の国々での体験にとどまらず、東南アジアやアフリカなどの発展途上国の現地校でボランティア活動をする生徒もいたそうです。
次世代リーダー育成道場(留学支援プログラム)
東京都教育委員会が実施している「次世代リーダー育成道場」に、第1回より毎回参加する生徒がおり、様々な体験を積むとともに、コミュニケーション能力や語学力、国際感覚等を身につけ帰国しています。
例年、4年生から5年生にかけて4名程度が1年間の留学を体験しています。
2024年8月現在9名の生徒が留学中
- 次世代Aコース1名 オーストラリア
- 次世代Bコース4名 アメリカ、カナダ
- AFS留学3名 イタリア、インド、フィリピン
- YFU留学1名 ドイツ
2023年4月現在12名の生徒が留学中
- 次世代留学Aコース オーストラリア、カナダ
- 次世代留学Bコース アメリカ、カナダ
- AFS留学 アメリカ、フランス
- YFU留学 ドイツ
海外の大学合格実績
2024年
- University of Sydney(豪)
- King’s College London(英)
2023年
- University College London(英)
2022年
- ソウル大学(韓)
- 延世大学(韓)
- 高麗大学(韓)
- 成均館大学(韓)
- University of Toronto(加)
2021年
- Boston University(米)
- Northeast University(米)
- St. Andrews University(ESL)(米)
- University of Oxford(英)
2020年
- University College London(英)
- King’s College London(英)
- Birmingham(英)
- Lancaster(英)
- Sussex(英)
- Universite de Bretagne Occidentale(仏)
- Minerva Schools at KGI(米)
- Colby College(米)
- Göteborgs universitet (スウェーデン)
- Chung-ang University(韓)
- Hankuk University of Foreign Studies(韓)
2019年
- Boston(米)
- Colby College(米)
- Georgetown(米)
- Grinnell(米)
- Lakeforest(米)
- Lawrence(米)
- Macalester(米)
- Michigan State(米)
- Vassar(米)
- Wesleyan(米)
- The Arts London Central saint Martins(米)
- 香港理工(中)
まとめ
今回は、東京都立小石川中等教育学校の特徴や受検倍率、偏差値、過去問、大学進学実績、塾ごとの合格実績などをご紹介しました。
※本記事は東京都立小石川中等教育学校や塾のホームページなどの情報をもとに作成しています。受検をご検討の方々はご自身で各ホームページの情報もご確認下さい。
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